『耐震等級は意味ない・耐震等級1で十分』は本当?意味ある根拠を解説│耐震性を高める方法も紹介
「耐震等級は意味ない」「耐震等級は1で十分」
このように指摘されることがありますが、本当でしょうか。
本記事では、耐震等級は意味がない、不要と言われる理由について紹介した上で、実は耐震等級の取得は必要であることや、耐震等級を取得するメリット・デメリットといった特徴について解説します。
新築を建てるにあたって耐震性の高い住まいが求められる昨今、耐震等級の中身について詳しく見てみましょう。
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「耐震等級は意味ない」と言われる4つの理由
はじめに、「耐震等級は意味ない」と言われる理由を確認してみましょう。
以下の4つの理由で耐震等級は不要と指摘されることがあります。
- ・無等級(耐震等級1)でも十分と考えるから
- ・耐震等級を取得しても構造部分にはダメージがあるから
- ・耐震等級3「相当」で十分と考えるから
- ・固定しすぎると地震の力を受け流せないから
無等級(耐震等級1)でも十分と考えるから
1つ目の理由は、耐震等級を取らなくても十分な強度があることが期待されるからです。
家を建てるとき、必ず建築確認という審査を受ける必要がありますが、この中で耐震性に関しての審査も受けることになります。このときの耐震性は「耐震等級1」に該当します。
耐震等級1は震度6~7クラスの地震を受けても倒壊・崩壊しない強度とされていて、費用をかけて耐震等級2・3を取得しなくても耐震等級1で十分とする考え方です。
>参考:住宅性能評価・表示協会 新築住宅の住宅性能表示制度ガイド
耐震等級を取得しても構造部分にはダメージがあるから
2つ目の理由は、耐震等級を高めても柱や梁といった構造部分にダメージは蓄積され、いずれは倒壊してしまうという考え方からです。
大きな地震に耐えられた場合でも、柱と梁の接合部にわずかな隙間が生じるなど、繰り返し地震が発生した場合には建物にはひずみが蓄積していきます。
繰り返し地震が発生したとき、耐えられる保証がない点は「耐震」の弱点と言えるでしょう。
耐震等級3「相当」で十分と考えるから
3つ目の理由は、費用をかけて耐震等級3を取得しなくても「耐震等級3″相当”でよい」とする考え方です。
実は耐震等級3を取得するためには、正式な計算のほか申請費用など一定の費用が必要です。
耐震等級3を取得できるほどの強度を設計上確保しながら、申請を行わないという選択肢はひとつの考え方といえるでしょう。
▶関連コラム:『耐震等級3』とは?メリット・デメリットを解説!「必要か?費用は?」など疑問への回答も紹介
固定しすぎると地震の力を受け流せないから
4つ目の理由は、固定しすぎると地震の力を受け流せないという考え方です。
木造住宅は元々、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて、木という素材特有の”しなり”があることから地震の揺れを受け流す性質があると考えられてきました。
一方で耐震等級を高める際には、地震の力を受ける壁(耐力壁といいます)の量を増やすなどして、耐久力を高めます。
柱と壁で建物を完全に固定してしまうと、「地震の力を受け流す効果が弱まるのでは?」と不安視されることがあります。
耐震等級3は意味がある!「熊本地震」を受けて
こうした意見を元に、「耐震等級3は意味ない」と言われることがありますが、実はこれは誤りです。
以下のグラフは、2016年に発生した九州の熊本県を襲った大地震で、震度7を2回記録した益城町における被害状況を示しています。
左のグラフは建築基準法レベル、つまり耐震等級1を、右のグラフは耐震等級3の住まいの被害状況を示しています。
耐震等級1の家では倒壊した住まいが2.3%、大破の住まいが4%あったのに対して、耐震等級3の住まいでは倒壊・大破した家は1件も見られませんでした。
このように、実際に地震を受けた地域の被災状況を見ても、耐震等級3の家の方が倒壊を防げるのは間違いないといえるでしょう。
なお、本調査の対象となっている地域は震度7を2回記録しています。
このことから繰り返し発生する地震に対しても、耐震等級を高めることは効果を期待できます。
耐震性を高めるには、どうすればいい?
さらに具体的に、住まいの耐震性を高めるためにどうすればよいのか確認してみましょう。
住宅性能評価機関の認定で耐震等級3を取得する
熊本地震の調査からも効果を実証されているのは、耐震等級3の住まいを建てることです。
耐震等級とは、住宅の品質確保促進法という法律で定められている、地震の強さを表す指標です。
1~3の3段階で示され、それぞれ以下の耐震性を持つことになります。
- 耐震等級1:数百年に一度程度発生する地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しない
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の強度
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の強度
本記事で紹介したとおり、耐震等級3を取得した家は熊本地震において倒壊・崩壊は見られなかったのに対して、耐震等級1の住まいでは倒壊・崩壊した例が見られます。
耐震等級を取得することで、大きな地震を受けた場合でも建物の倒壊・崩壊を防ぐことが期待できます。
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耐震等級の取得に加えて制震装置を導入する
>施工事例:耐震等級3+制震機能で安心安全な子育て世代の住まい(磐田市)
耐震等級の評価方法は、耐力壁(地震に抵抗する役割を持つ壁)を多くしたり、バランスよく配置したりすることで、地震に「耐える」考え方の技術です。
耐震に加えて制震の考え方を導入することで、地震発生時の被害をさらに抑えられるでしょう。
制震は、制震ダンパーと呼ばれる、地震のエネルギーを熱など他のエネルギーに変換する技術で、新築やリフォームで壁の中に埋め込んで使用します。
実際に地震が発生した場合、制震ダンパー内部の装置が自動で作動して地震によるエネルギーを減衰、建物の揺れを軽減してくれるでしょう。
余震など、何度も発生する地震に対しても効果を発揮し続けますので、制震ダンパーを耐震と組み合わせて使用することで、度々発生する地震にも強い家になります。
平屋建てを選択するなど、建物に工夫を加える
住宅を設計する段階であれば、建物に対して耐震性を高める工夫を加えることもできます。
たとえば、以下の5つの方法です。
- ・平屋にして建物の高さを低くする
- ・基礎にベタ基礎を利用して不同沈下を防ぐ
- ・真四角に近い形にして建物のバランスを整える
- ・ガルバリウム鋼板など軽量な屋根を利用する
- ・強固な地盤のエリアを選択する
耐震・制震といった地震対策に加えて、こうした工夫も取り入れて地震に強い家を建てましょう。
▶関連コラム:浜松の注文住宅|木造住宅は耐震の方法で地震への強さが変わる
耐震等級のメリット
耐震等級は地震に強い家を建てるために効果的な方法ですが、実はほかにもメリットがあります。
取得することでどんなメリットが得られるのでしょうか。
- ・地震に対して安心を感じられストレスがなくなる
- ・万が一のとき家族の命を守れる可能性が高まる
- ・被災後も自宅で快適に過ごすことができる
- ・地震保険料の割引制度を利用できる
- ・フラット35などの金利優遇制度を利用できる
特に地震保険料の割引や住宅ローンの金利優遇といった制度は、利用することで家計負担を軽減する効果もありますので、認定に必要な費用と各種割引とを総合的に計算して方針を決める必要があります。
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まとめ│耐震等級+α 複数の地震対策で安心の住まいに
>施工事例:地震対策にエアー断震システムを採用した二世帯住宅(豊橋市)
「耐震等級は意味ない」「耐震等級は1で十分」こうした意見に対して、実は耐震等級3には多くのメリットがあり、建物を守るために必要な考え方であることを解説しました。
たとえば熊本地震のときも、耐震等級1の家と耐震等級3の家とでは被害に大きな違いがありました。
耐震等級3を取得するためには、構造計算の費用や審査料などがかかることから取得を敬遠する方も多いですが、ご自身と家族の安全のために、耐震等級3の家を検討してみましょう。
浜松で家族の暮らしに寄り添った自然素材の家を造る工務店
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